第1400号 愛着って何?
こんばんは。パピーいしがみです。
はじめに、千葉県で被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。
13日の夕方から、千葉は今まで経験したことのない雨になりました。
避難指示は一時、40万人を超えました。
今もまだ避難所で過ごしておられる方、電気が戻らない地域、線路の下の土砂が流されて、いつ復旧するか分からない路線もあります。
実は・・・明日、8月16日は「千葉県ランチ会」の予定でした。会場も千葉駅の近くを押さえていました。
でも、14日に中止(延期)を決めて、お申し込みくださった皆さんにご連絡をさせて頂きました。
千葉市の近郊でかなりの被害が出ていたこと。
お集まりくださる方の中に、被災された方がいらっしゃるかもしれない、と思ったこと。
また、来ていただく道中が危ないかもしれない、と考えたからです。
電車が止まっている。道路が冠水している。そんな中、無理をされたら・・・と考えたら、答えは一つでした。
楽しみにしてくださっていた方には、本当に申し訳ありません。
でも、千葉でのランチ会は必ずまたやります。
落ち着いたら、あらためて日を決めてお知らせしますので、そのときはぜひお会いしましょう。
さて、こういうとき、私がいちばん気になるのはお子さんです。
大人はまず、片づけや手続きに追われますよね。子どもはその横で、案外静かにしています。「大丈夫?」と聞けば「大丈夫」と答えます。
でも、そのあとが少し変わるんですね。
夜、なかなか眠れない。急に甘えてくる。トイレについてきてほしがる。
「もうこんな時に・・・」と言いたくなります。お母さんも疲れきっていますから。
でも、これは困らせているのではないんです。「怖かった」と言えないから、体で言っているんですね。
ですから、しばらくは受けとめてあげてください。抱っこでも、一緒に寝るでも構いません。落ち着けば必ず戻ります。
そして、もう一つの心配は、お母さんご自身のことです。
こういうときに「しっかりしなきゃ」と思う方ほど、あとで疲れがでてきますので、ご無理をなさらないように。
被害に遭われた方が、一日も早くいつもの暮らしに戻れますよう、お祈りしています。
愛着障害について
金曜日のインスタライブで、こんなご質問がありました。
「愛着障害についてご存知だと思いますが、愛着不安の観点からはどのように思われますか?」
これ、いじめに関する動画での質問だったので、いじめと愛着障害の関係についてお聞きになっている・・・と思うのですが、
私の答えは、たぶん、期待されているものとは違うんですね。
まずは「愛着って何?」というところから、お話しますね。
「愛着」って言葉は、イギリスの精神分析医のジョン・ボウルビィが提唱した「愛着理論」から来ています。
戦争が終わったあとのヨーロッパに、親を亡くした赤ちゃんや、親と引き離されたこどもたちが大量に、あふれていました。
そこでWHO(世界の健康を守る機関ですね)が、ジョン・ボウルビィに調査を依頼します。
ボウルビィは、あちこちの施設を回りました。
行ってみると・・・施設はきれいなんです。ミルクも足りている。
なのに、赤ちゃんが育たない。
体重が増えない。病気にかかりやすい。亡くなる子も多い。
そこで何が不足しているのか?をボウルビィに調べてもらった・・・ということなんです。
そこで分かったのが、乳幼児期には、特定の大人からの「抱っこ」や「あやし」「スキンシップ」といった情緒的なふれあいが必要なのではないか?ということでした。
当時の常識はこうでした。
「赤ちゃんがお母さんを求めるのは、ミルクをくれるからだ」
ボウルビィは、これを、はっきり否定しました。
そしてそれを裏付ける、アメリカのハーロウという学者の有名な実験があります。
サルの赤ちゃんに、2種類のお母さんを用意したんです。
1つは針金でできている人形で、ミルクが出る。もう1つは布でできている人形で、温かみはあるが、ミルクは出ない。
赤ちゃんザルは、どっちにしがみついたと思いますか?
布の人形の方だったんです。
お腹がすいたときだけ針金のほうへ行って、飲み終わったらまた布に戻る。
つまり、こういうことです。
「抱っこ」は、ミルクのおまけじゃない。「抱っこそのもの」が、生きるために必要なんだ、ってことです。
こうして生まれたのが「愛着(アタッチメント)」の考え方です。1951年のことでした。
不安になる → 泣く、しがみつく → 抱っこしてもらえる → ホッとする → また外へ出ていく。
これを何百回、何千回と繰り返して、子どもの中に「安全基地」ができます。
そんな不安になったら帰る場所があるから、外の世界に足を踏み出せる。
その後失敗しても、安全基地に戻って、また心を満たすことで、また一歩足を踏み出す・・・ってことなんですね。
その「安全基地」となる安心できる心の拠り所を作るのが「愛着」であって、それを「愛着理論(アタッチメント理論)」として、発表したのがボウルビィだったんですね。
だから「抱っこをすると抱き癖がつく」なんて、全くの論外で、その子が心の中に安全基地を作るまでは、
しっかり抱っこしたり、スキンシップをしたり、甘えさせてあげることが大事なんだ、とすでに言われているんですね。
それで・・・ご質問へのお答えですが・・・
多分、その「愛着不足」がいじめの原因ではないですか?というご質問だったのだろう、と思うのです。
でも、結論から言って、愛着不足は、いじめの「直接原因」ではない、と私は思っています。
いえ、絶対にないとは言いませんが、それがいじめの大きな要因ではないと考えています。
というのも、今でも多くの人が考える・・・
「愛情が足りないから、人をいじめるんじゃないの?」
「甘えられなかった子が、弱い子に向かうんじゃないの?」
は、世界の研究で、もう答えが出ています。
1、ダン・オルウェウスの研究
「いじめる子は、心が満たされていない」これ、もう否定されているんです。
ノルウェーに、ダン・オルウェウスという方がいました。世界で最初に大がかりないじめ調査をした、「いじめ研究の父」と呼ばれる人です。
その人が数字で示したのは、こういうことでした。
いじめる側の子は、自信がないどころか、むしろ自己肯定感が高い。不安も少ない。
2、ディーター・ウォルケの研究
イギリスのウォーリック大学に、ディーター・ウォルケという研究者がいます。
9歳から11歳の子ども1,420人を、25歳を過ぎるまで、16年も追いかけました。
そこで、はっきり分かれたんです。
家庭にしんどさを抱えていたのは、「いじめられた経験もある子」のほうでした。
純粋にいじめる側にいた子は、そうではなかった。むしろクラスで人気があって、人の気持ちを読むのが上手だったのです。
では、なぜやるのか。
次が、その答えです。
3、アンソニー・ヴォルクの研究
カナダ・ブロック大学のアンソニー・ヴォルク教授らが2012年に発表した研究では、こう指摘されています。
「いじめは異常な病理行動ではなく、目的を持った合理的な行動戦略である」と。
いじめを行うことで、彼らは「グループ内での高い地位(人気・序列)」や「異性からの関心」を手に入れています。
しかも、自分は手を汚さず周囲を巻き込むなど、最小限のリスクと手間でそれらを得られるからこそ行っている・・・。
というのが、現代の科学が突き止めた事実です。
・・・どうでしょうか。
「いじめる子には、何か問題があるはずだ」
私たちがずっと信じてきたこれは、研究の世界では、もうひっくり返っているんです。
その上、アンソニー・ヴォルクは、「グループ内での高い地位(人気・序列)」を手に入れる、とまで言っていますよね。
いじめは、その子の性格や、その子の家から起きているのではないんですね。
犬でも、猿でも、群れになると、必ず序列ができますよね。私がこれを「ヒエラルキー」と呼んでいることはご存知の通りです。
人間も同じ哺乳類です。クラスでも、部活でも、大人の職場でも、集まれば必ずヒエラルキーができます。
そして、上の立場の者が、下の立場の者に力をふるう。
これが、いじめの正体なんですね。
「性格の悪い子」がやることではなくて、集まったら自然にそうなる、という話なんです。
たとえば、こんなご相談がありました。
小学校高学年の男の子。幼稚園からの仲良し4人組です。
その4人の中に、いつのまにか順番ができていました。
上から2番目だったその子は、3番目の子に「あいつにこれをやれ」と命令して、4番目の子をいじめさせていたんです。
自分の手は、一度も汚していません。
そのお母さんは、先生からの電話で泣いてしまわれました。
家では優しくて、下の子の面倒もよく見て、お手伝いもする。そんな子でしたから。
「愛情が足りなかったんでしょうか?」と悩まれたのですが、今までの説明でそうではない、と言うことは言えますよね。
なんにも問題のない子でも、その場所に置かれたら、やってしまうんです。特にこの相談の場合、リーダー格の子に命令されていたのでした。
なので、結論として、私は「いじめと愛着に、それほど大きな関連はない」と考えています。
もちろん、愛着はとても大事です。
でも、いじめが起きるかどうか。狙われるかどうか。そこを決めているのは、愛着ではないんですね。
ちなみに、ご相談いただいたそのお母さんには「お母さんのせいではありません」
「でもNO!を言える練習をしましょう」とお伝えし、
息子さんが、きちんと自分の言葉で「嫌だ!僕はやらない!」と言えるようにしてもらいました。
驚くことに、それを言っただけで、元の仲良し4人組に戻れたんです。
それと・・・こんなご質問ももらいました。
見ているだけの子
「いじめをする子」と「いじめられる子」は、ヒエラルキーや立場で起きるとしたら、「いじめられる子」以外に「何もしない子」「見ているだけの子」もいますよね。その違いはなんでしょうか?
実は今、この「何もしない子」「見ているだけの子」が、現代のいじめについて重要な意味を持っている、と言われています。
というのも、そういう「周りで見ている子」たちが笑ったり、面白がったりすることで、
いじめている子が「承認された」「やってもいいこと」だと認識するから、と言うのですね。
いじめの中核にいるのが「いじめる子・いじめられる子」なのですが、そのすぐ周りにいるのが「観衆」で、はやしたてたり、おもしろがって見る子たちです。
そしてその周りに「傍観者」がいて、 見て見ぬふり・無関心を装うという子たちが取り巻いています。
例えば、クラスの中でも、いじめる子・いじめられる子、だけでなく、加わらないけどけしかける子もいますし、知らんぷりしながら見てるだけの子もいます。
でもそれはもともと「争いごとが嫌い」と言う子もいますし「火の粉を被りたくない(自分の番になったら嫌だ)」と考えている子もいるでしょう。
そこで近年のいじめ対策としては、その「観衆」や「傍観者」に、笑わないようにする、無視しない、あるいは「それは良くないよ」と小さなサインを出す・・・
という対策を提唱しています。
このやり方が、現代の世界的に有名な、いじめ防止プログラム「KiVa(キヴァ)」というものです。
で・・・学校などでは、このように「観衆」や「傍観者」となる、当事者以外の人たちがアクションを起こしましょう・・・とやっているのです。
でも・・・私はこれって現実的には難しいと考えています。
というのも「観衆」や「傍観者」がいつもいるわけではないからです。
このプログラムがもっと浸透した時に、いじめる子は影に隠れてするでしょう。
今でもいじめはSNSなど、目に見えないところで行われているのですから。
だったら根本解決にはならないんですね。
こんなふうに「いじめを無くそう!」という志で研究されている方々は、そのご尽力に尊敬しますけど・・・
どんどん難しくなってしまい、現実不可能な・・・「理想」を追い求めているように感じるんですね。
だったら現実をちゃんと直視して、「怒りを表せ」「自分の言葉で反論する」。
それだけ認めてもらえたら、もっとずっと早くて楽なのに・・・って私はいつも思うのですね。
ただ・・・これは今まで「正しい」とされてきた教育方針「みんな仲良く」「やられてもやりかえさない」「暴力・暴言はいけない」を、
真っ向から否定することなので、多分、受け入れられる人(特に指導的立場の人)は少ないだろうな〜とも思っています。
でも、このやり方で確実に実績は出ているんですね。
あとは、それぞれの親が何を選択するか?だと思いますが・・・。
もし、メディアが見つけてくれたら・・・喜んでテレビでもラジオでも説明するんだけど・・・(笑)
まあ、地道にがんばります(^^)。
それではお知らせをして終わりにしますね。
お知らせ
(1)上級編をお持ちの方に、リニューアルのお知らせと、URLをお届けしましたが、そのURLが開けない方、そもそも案内が届かなかった方が多数おられました。
もし「私も開けなかった」「届かなかった」という方がいらっしゃいましたら下記へお知らせください。個別にご連絡させていただきます。
age18_jp@yahoo.co.jp
(2)8月29日(土曜日)に、群馬県の教育委員会主催のイベントに登壇してお話ししてきます。
前日からの泊まりの予定なので、8月28日(金曜日)のインスタライブはお休みになります。
どんな話をして、どうだったか・・・については、また、このメルマガでお話ししますね。
(3)2026年下期ランチ会は、下記のようになります。
1度ランチ会に参加した人も参加してくださってOKです。
その方が多方面で仲間が増えますからね♪
9月 山梨県ランチ会
10月 大阪府ランチ会
11月 愛媛県ランチ会
参加をご希望の方はパピーいしがみまで。
age18_jp@yahoo.co.jp
(4)藤川理論(分子栄養学)コミュニティ
(会員さんなら誰でも参加できます)
メール送信先:age18_jp@yahoo.co.jp
今日も最後までご覧いただきましてありがとうございました。
暑い日が続きますからね。体調管理をしてのりきりましょうね♪
では、また来週お会いしましょう(^^)
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【 パピーいしがみ 】人材育成の現場から、育児・子育てこそが、本人の一生のベースになると痛感し、吸収したノウハウやアイデアを自分の3人の子育てに応用。子ども達が喜びと自信を持って成長していく中で、親としての充実感と予想をはるかに上回る結果に驚愕する。2003年あまりの少年犯罪の多さ、幼児虐待の事件に心を痛め、その子育て育児方法をインターネットで公開。熱烈なサイトのファンからの要望で、テキストを作成し通信講座として紹介。著書も好評で現在は会員さんから毎日届く悩みや相談に応えている。














