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第1145号 仲直り

パピーいしがみです。

「仲直り」って、よく学校の先生がケンカしている当人同士に「はい握手して・・・仲直り♪」ってやるケースを見たり聞いたりしますが、

実はこれをやらされても、当人同士は何もスッキリしていないし、気持ちはずっとモヤモヤが続きます。

もちろん私は「嫌いな相手とも仲良くしなさい」なんて言う必要はないと思っています。

でも今まで仲が良かった子と、小さな理由で仲たがいして、その後からかわれ続けたり、そのまま絶交となってはとても残念です。

なのでもし、子供がなんらかの原因で仲たがいをしてしまった時、こんなやり方でお互いの不満を解消する事ができますよ、という意味でご紹介させて頂こうと思います。

ご相談頂いたのはだいふくさん。

だいふくさんの息子さんは小学校1年生で、一緒に遊ぶ仲間が3人。(みんなで4人)いつも鬼ごっこをして楽しく遊んでいたそうです。

でも・・・ちょっとしたトラブルから、険悪な雰囲気になってしまったみたいです。

こんな内容のご相談でした。

ココから・・・

(前略)

息子の性格は、好奇心の塊で、興味の赴くままに行動するので、人に意地悪などはほとんどないのですが、

触ってはいけないものをつい触ってしまったり「いらんことしぃ」に見えやすいです。

なので、色々注意してくるタイプの子とは相性が悪いなぁと思っていましたが、

何か言われても、ひどいとき以外はスルーしててあまり気にしない性格だったので「嫌なこと言われてもすぐ忘れてるのがすごいなぁ」なんて思ってました。

ただ、ずっと黙ってるわけではなく、子供らしい自己主張はできる方です。

あまりに馬鹿にされると「もうやめてよ!」や「帰る!」やらギャーギャー騒いだり、賑やかな子です(^_^;)

明るくて、誰でも割と話せるのですが、早生まれ、ということもあり友達とのコミュニケーションは、周りと比べると幼さがあります。

なので、近所のお友達にもバカにされやすいのかな?と常々心配はしてました。

そして遊んだとき、ちょいちょい息子が怒って帰宅することが増えてきました。その原因は「鬼ごっこ」。

息子は「いつも鬼にさせられるのが嫌だ」と言ってました。

足は早い方なのですが、タッチされるのを極端にいやがり、タッチされそうになるとすぐ「休憩!」と言ってズルしたり、

ルールが守れなかったりすることで、友達にも指摘され、鬼にさせられる、という事が起きていたようです。

実際、何度か私も現場を見てて、ズルとかしてない時にも、なーんとなく、意図的に鬼にさせられてるなーとモヤモヤする場面もありました。

なので、私は「みんな鬼ごっこ好きなメンバーだし、嫌なら帰っておいでよ、無理にする必要はないよ、それぞれ遊びたいことも違うしさ、公園行って遊ぼうよ」と言うこともありました。

そして、夏休みに入って毎日のように遊んでいたと思ったら、息子のストレスが家で弾けました。

機嫌が悪く、妹に八つ当たりがひどかったので「どしたー?なんかいらついてる?またみんなと喧嘩したの?」と聞くと

「喧嘩した!みんなだいっきらい!」

「みんなが僕をバカにする」
「ダサいと言われる」
「A君は僕のことだけ嫌いできつくする」
「4人の中で僕は4番目だと言われる」
「なんでもかんでも注意してくる」
「下校のときも行くのが早い!とか文句言われる」

まあ色々出てきまして、しかも紙に箇条書きしだしたのです。

上の、箇条書きのいくつかは私も現場を見てました。それはほとんどA君が言っていました。

その他、すべて鵜呑みにしてるわけではありませんが、ああやっぱりそういう感じだったのね、と改めてわかりました。

その後、休み中は、みんなに「仕返ししたい仕返したい」とブツブツ言いながら、遊ぶことは一切せず、親子で過ごしたり公園に行ったりして、やり過ごしてました。

学校が始まって「またイライラしてきたんだよ」と言うので、詳しく聞いてみると

「僕は普通に歩いてただけなのに、A君の足に当たっただけで、踏んだと思われて、急に「やめろや!」と言ってきて向こうから喧嘩を始めてきたんだ!」

そのあとも、キックしてやり返しただの、噛みつかれただの、色々やり合ってた、と言いました。

事実はわかりませんが、A君はやはり、息子がいるだけで気に食わない、というのは変わらないのかな~と思いました。

「それで、あなたはどうしたいの?遊びたいの?」ともう一度聞いても「遊びたくない」と言いますので

「それじゃ、また言ってきたら言い返したりやり返したらいいけど、もうわざわざA君たちがいるとこには行かなくていいと思うよ」と言いました。

ああ、このやり取りを今まで何度、本当に何度したことでしょう!(^_^;)

なかなか息子の傷ついた気持ちを癒やすことができず、

「イライラするんだよ!」と言われたとき、復讐心がまたムクムク出てきたとき、どう声を掛けていいものか、わからなくなってきました。

親としてはもう、関わらないでほしいなと思うのですが・・・。

そして、向こうのママさんたちに会ったらどう接したらいいのかな、とか色々大人都合で気にしてしまいます。

ココまで・・・

という内容でした。

だいふくさんの息子さん、本当はみんなで楽しく遊びたいんですね。

A君も決して「嫌い」というわけではないのですが、ちょっとからかいたい、少し意地悪したいだけなのだと思います。

でも、いままで楽しく遊んでいた友達ですし、できれば、『仕返し→さらに仕返す→寄ると触るとケンカ』のループは解消したいです。

なので「仲直りを教える」意味で、こんな風にしてみたら?とお返事しました。

ココから・・・

だいふくさん、こんにちは。

メール拝見しました。

A君からすると、息子さんが「からかい」の対象になってしまっているようですね。

又、4人で遊ぶ時に1人に「からかい」が向けられると、どうしても他の2人も 同調する、という事になりかねません。

それで・・・どうやらだいふくさんとしては、子供たちに解決を任せ、又、できれば関わってほしくないとお考えのようです。

ただ・・・事の始まりは、鬼ごっこでのちょっとしたズルや、ルール違反。そして友達からの指摘と、意図的に鬼にさせられる、という事のようです。

それで、もし私だったら、子供を叱るのではなく「じゃあ、一緒に混ぜて!」と 私もその鬼ごっこに入ったかな?と思うのです。

それには理由がいくつかあります。

まずは我が子にルールを教えて「それはダメだよ」と注意する事。

そして当たりの強いA君にも「A君、それは酷いんじゃない?」とか「そんな言い方、いけないよ」のように注意する為。

それから、ちょっとみんなから下に見られている我が子を守るために「軽んじたら、親が出てくるぞ」というイメージをつけさせるためです。

子供達は、残酷な面もあるのですが「これ以上やったら自分の身が危ない (叱られる)」という事が分かれば、酷いからかいや意地悪などはしないのです。

でもどんなにやっても誰も何も言わない状況になると、からかいはエスカレートし、その攻撃が面白くなってしまうのですね。

今回、息子さんがそのターゲットになってしまって、周りから攻撃されてしまったみたいですが、

本当は息子さんもみんなと離れるのではなく、一緒に遊びたいはずだと思うのです。

だとしたら、今回のようにほんのささいなトラブルで、絶交のような形になって しまうのは、とても勿体ないな、と思うのですね。

それで・・・気になったのはこの部分です。

「みんなが僕をバカにする」
「ダサいと言われる」
「A君は僕のことだけ嫌いできつくする」
「4人の中で僕は4番目だと言われる」
「なんでもかんでも注意してくる」
「下校のときも行くのが早い!とか文句言われる」

上の、箇条書きのいくつかは私も現場を見てました。それはほとんどA君が言っていました。

と書かれていましたね。

という事は、だいふくさん、「A君、その言い方まずいな」と思いながら黙っていたのですよね。

とすると・・・「どんなにやっても誰も何も言わない状況」になってしまった可能性があります。

私は兄弟のケンカには干渉すべきではない、と思っています。

ですが他の子からの理不尽な言いがかり、からかいなどは、それを親が見たら、放っておいてはいけない、と思っています。

なぜなら意地悪をしている子供は「この子への意地悪は、この子の親も見ていて何も言わないのだからしたっていいんだ」と思うからなんです。

(友達の中で順位付けが起きてしまい、平等な友達関係ではなくなります)

もしA君が理不尽な事をしている場面で「A君、それはおかしいんじゃない?」と言われれば、

A君も「あ、まずい」と自分の行動を反省したり、後悔したりもできるんですね。

そして自分の子供だけでなく他の子も節度の持った遊びができるようになるのです。

ですから一度、A君と息子さん、そして だいふくさんで、お話をされたらどうでしょう?

A君に「なんだかこのごろ仲が悪いみたいだけど、A君、息子に嫌な事があるの?」と言って、A君に言いたいことを全部言わせるんです。

そして「そうか、そういう事があったんだね」「でも〇〇(息子さん)にも言いたいことがあるんでしょ」と言って、息子さんにも言いたいことを言わせるのです。

そして「私は、〇〇もA君も、仲良く遊んでほしいなと思ってるんだ。ケンカも時にはあってもいいけど、いつまでもケンカし続けるってお互いに嫌だよね」

「でもこうやって嫌な事をはっきり言っちゃえばスッキリするでしょ?」

そして「どうかな?又、いっしょに遊べるかな?」と聞いてみて、もしお互いに 「うん」と言えるのなら、

「じゃあ、今回のケンカはこれで終わりにしよう」と言ってみたらどうだろう?と思うのです。

要は「ケンカの終わり方を教える」ってことです。

2人とも仲たがいしながら絶交するのも一つだとは思いますが、できれば仲直りして、又、一緒に遊べたら何倍も嬉しいはずです。

息子さんもA君も自分が悪いとは思っていないでしょうし、どちらかに謝らせるのも違うと思います。

でしたらどちらかが頭を下げるのではなく「これで終わり」ができたら又、良い関係になれると思うのですね。

もちろんうまく行かないかもしれません。

その時はムリして仲直りさせる必要もないですが、後々まで遺恨を残す、ということは避けられるかな?と思いますがどうでしょうね?

ココまで・・・

こんな風にお返事をしましたら、だいふくさん、勇気を出してA君と息子さんに話をしたそうです。

こんなご報告を頂きました。

ココから・・・

今朝、アクションを起こしたのでご報告させていただきます。

昨日学校から帰ってきて
「A君にまた嫌なことを言われたんだよ!」
「何があったの?」
「ダサいって言われたから押して帰ってきたんだよ!」と。

それで、これは早めに手を打たなければ今日も喧嘩しそうだなと思い、確実にみんなが捕まる朝の登校時に話すことにしました。

私「この前から喧嘩してるって〇〇から聞いててさー、おばちゃん心配で、話しに来たんだよ」

「A君、なんかあったー?〇〇に嫌なことあるのかなー?」

A君は「う~ん、うーん、うーん」しか言わなくて、全く出てこなかったので

「聞きたいだけだし、怒ってないよ、〇〇に何かされた、とか聞かせてほしいだけだからね。」

それでも「うーん」の繰り返し。

なかなか出てこないから息子に振って「〇〇は?なんか遊んでて嫌だった事ある?」

息子も少し離れて早足で行こうとするもんですから「〇〇、ちょっとまって、ちゃんと言ってスッキリしよー!みんな聞いてくれるよ!」と私も必死でした。

横からB君が「怒らへんから言うてみー」と声を掛け、やっと息子が「みんなが意地悪するから嫌なんだよ」と言いました。

私「そうか、〇〇はいつも意地悪されると思って嫌だったんだね」

B君がA君に「意地悪するから嫌だったって」と二人で話してました。

私「他にはない?」 

B君、A君「うーん、うーん、ないなぁ~」

私「鬼ごっこズルした、とかは?」

B君、A君「え?あ~、それくらいかな」

それ以上は本当に出なかったので、「喧嘩はしてもいいんだけど、長引くのはおばちゃんも悲しいし、お互い気分が悪いから、言いたいこと言って、今回は喧嘩オシマイ!でいいかな?」

と聞いたら、息子も、みんなも「うん」で終わりました。  

その後は息子も含め、じゃあねー!ぴゅーー!っと走って行ってしまいました(笑)。やはり、1年生、きちっと話しするのが難しかったです(^_^;)

おそらく、A君、B君にとっては意地悪してるつもりもなく、息子をそこまで嫌いとかではなく本当に「からかい」の段階だったのかな、と。

息子がここまで傷ついてる、とかそんなことは全くわかってないな、と感じました。

これから状況がどうなるのか、まだ不安ですが、パピーさんに相談しなければ、この様な行動はできず、息子も私もずっと逃げ続け、悩み続けてたと思います。

話してみて感じましたが、今回の話し合いは、喧嘩の終わらせ方を教えることもそうですが、「からかい」の牽制になったことの方が大きいかなー?と感じてます。

息子も「みんなが意地悪するから嫌だったんだよ」と一言でも言えたので、帰ったらみんなの前でよく言ったね、と褒めようと思います。

ココまで・・・

子供のケンカに親が出るなんて・・・と言う人がいます。

ですが、まだどうやったら解決ができるか分からない子供にとって親が間に入って解決方法を提案するのは、決して悪いことではありません。

今回、だいふくさんも“「からかい」の牽制になった”とお感じになったようですが、まさにここが大事なところで、

「あんまりからかうと、おばちゃんが出てくる」と子供が感じると、からかいもエスカレートすることは無くなるんですね。

この日、息子さんはA君ともう一人の友達と3人で帰ってきたそうです。晴れ晴れとした表情で(^^)。

そしてご主人が「誰と帰ってきたの?」と息子に聞いた時、「ナイショー」と嬉しそうに話したのだそうです。

長いこと嫌な気持ちでいた息子さんにとって、久しぶりに気持ちも晴れて、楽しい1日だったのではないかな?(^^)

ちなみに、その後も今まで以上に仲良くなって、おしゃべりしながら学校から帰ってきているみたいです♪

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パピーいしがみ 人材育成の現場から、育児・子育てこそが、本人の一生のベースになると痛感し、吸収したノウハウやアイデアを自分の3人の子育てに応用。子供達が喜びと自信を持って成長していく中で、親としての充実感と予想をはるかに上回る結果に驚愕する。2003年あまりの少年犯罪の多さ、幼児虐待の事件に心を痛め、その子育て育児方法をインターネットで公開。熱烈なサイトのファンからの要望で、テキストを作成し通信講座として紹介。著書も好評で現在は会員さんから毎日届く悩みや相談に応えている。

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