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第664号 気持ちを聞いてほしい

今日のメルマガのタイトルは「気持ちを聞いてほしい」としました。

私が以前、会社勤めをしている時、

(私は総務部にいて人事も担当していました)

沢山の社員が相談に来ました。

上司と上手くいかないとか、仕事が合わないとか、

配属先を替えてほしいとか・・・とても沢山の相談がありました。

私はその度に社員の言葉を時間をかけて聞きました。

「うんうん」「そうだね」「その気持ち、わかるよ・・・」

そうやって聞いていると、

最初は怒りに震えてきた人たちも落ち着いて、

大きなトラブルも解決の方向に向かっていきます。

特に、人と人との感情のもつれが原因のトラブルの場合、

全部話してすっきりすると、

「・・・でも、もう少し頑張ってみます」

と言って帰っていく事がとても多かったのです。

私は解決方法を提示したのでも、アドバイスをしたのでもないんです。

ただ「じっくり聞いた」だけなんです。

実は、これって、子育てでも十分に使える方法で、

今日はそのとても良い例をご紹介したいと思います。

まずはニュムヤムさんから頂いたメールをお読みください。

ここから・・・

パピーさん、はじめまして。ニュムヤムと申します。

2年ほど前からパピーさんのメルマガを拝読しています。

それまでは様々な子育て本を読んでいましたが、

パピーさんのメルマガを知ってからは、

毎週届けて頂く無料のメルマガの方がずっと役に立つ!と、

それからは子育て本を全く買わなくなりました。

2年前はまだ長男も2歳ちょっとだったし、

ちょうど下の子がお腹にいるときだったので、

下の子が生まれて落ち着いたら絶対パピーさんの勉強を受けるんだ!

って決めていました。

(でも、会員さんはどんどん増えているようで、

もしかして定員オーバーになったらどうしよう?とドキドキでした。

まだ受け付けてくださいますか?とメールした時、

「大丈夫ですよ♪」とお返事頂けてとてもうれしかったです)

下の子も無事に生まれて、手のかかる時期も終わり、

勉強を始めさせて頂きました。

今、毎日10分の勉強がとても楽しいし、

何より私の気持ちがとても安定していると感じています。

イライラすることが少なくなって有り難く思っています。

ですが、以前から一つだけ気になる事がありまして、

今日はご相談をさせて頂こうとメールしました。

私は、子供たちに「人の気持ちが分かる、思いやりのある人」に

育ってほしいと思っています。

もちろん、ただ優しいだけでは社会の荒波に負けてしまったり、

からかいがいじめになる前に食い止めることができるよう、

自己主張ができる事、これがとても大事であることも納得しています。

ですが、長男はどうも手が早い、というか、

「思いやりがある」にはほど遠いように感じます。

次男は、今、1歳半で、いろんなものに興味があります。

遊んでいるお兄ちゃんのそばに弟が寄っていくと、

お兄ちゃんは「来るな」「あっちいけ」と言います。

それでも近づくと、お兄ちゃんは力づくで押しのけたり叩いたりします。

次男はお兄ちゃん大好きで、お兄ちゃんと遊びたいようなのですが、

お兄ちゃんに嫌われ、攻撃されて泣き出し、

私はその度に「なぜそんなに乱暴なの?」とお兄ちゃんを怒ります。

叱られたお兄ちゃんは癇癪を起し、おもちゃを投げる。

投げたおもちゃが次男に当たり、又さらに大泣きして私が切れる。

私が大きな声を出して長男を怒鳴り、長男は大声で泣いて暴れます。

落ち着いたところで長男にはしっかり謝らせて事態は収拾する。

というパターンが続いています。

長男に「ごめんなさい」と謝らせるので、これで分かってくれるだろう、

と思っていたのですが、このパターンが何度も繰り返されています。

それに、お兄ちゃんの弟嫌いはだんだんエスカレートしてきて、

弟が私の膝に乗っていると「どけ」と弟を引きずり下ろそうとします。

『繰り返される』『さらに悪くなる』のは

「問題は解決していない」と言う事だと思います。

私の対処に間違いがありましたら、

でしたらどんな風に対処したらいいのか、

それをお聞きしたいと思ってメールしました。

お忙しいと思いますが、お手すきの時にでもお返事頂けたら、

と思います。よろしくお願いします。

ここまで・・・

ニュムヤムさんからのメールを頂いて、ちょっと感じたのが、

「人の気持ちが分かる、思いやりのある人」への要求が強くないかな?

と思った事でした。

その後、ニュムヤムさんに

「お兄ちゃんの手の速さ・乱暴」は以前からでしたか?

とお伺いしましたら、そうではない事が分かりました。

以前(2歳ぐらい)の時には、児童館などに行っても、

他の子ともおだやかに遊べるし、おもちゃを「貸して」

と言われれば「どうぞ」と貸してあげることもできたそうです。

乱暴・手が早い、と感じるようになったのは、

ここ1年ぐらいで、兄弟げんかもそれから増えてきた、

との事でした。

そして「これがその原因になっているのでは?」

という部分があったのでこんな風にお返事してみました。

そこには「無条件に叱る」現状が有ったのでした。

ここから・・・

ニュムヤムさん、こんにちは。パピーいしがみです。

詳しいお返事をありがとうございました。

なるほどなるほど・・・もしかしたら、

お兄ちゃんは少しずつお母さんの対処に

理不尽さを感じているのかもしれません。

というのは、お兄ちゃんが下の子を攻撃する。

これについてニュムヤムさんは「叩いてはダメ」と

何をおいてもまず「叩く事」を叱っておられるようですが、

これは正しくありません。

「叩く」には「叩きたくなる」だけの理由があります。

ですから頭ごなしに叱るのではなく、

「なぜ叩いたの?」「なぜ叩きたくなったの?」

とその理由を聞く必要があるんですね。

それと・・・

前回、ニュムヤムさんは、

「人の気持ちが分かる、思いやりのある人になってほしい」

と言われていましたね。

そして今回、頂いたお返事には、

> 2人しかいない兄弟なんだから、楽しく一緒に遊んでほしい。

> なぜ近づくのを拒むのか、邪険にするのか分からない。

と書かれていました。

それを見て思ったのですが、

ニュムヤムさんは、お兄ちゃんに「一緒に遊ぶ事」を

“常に”要求していませんか?

もしくはそれを「当たり前」と思っているのでは?

と感じたのですが、そんな事はありませんか?

例えば、お兄ちゃんが1人しかいない時(小さい時)、

お兄ちゃんの遊びには誰が付きあっていましたか?

多分、それはニュムヤムさんだったと思うのです。

その時は、お兄ちゃんの遊びのペースだったはずです。

その子のペースに合わせてあげていたから、

問題なく、遊べていたはずなのです。

まだ年齢の低い下の子が機嫌良く遊ぶには、

そのペースにこちらが合わせてあげならないはずなんですね。

それをもし「兄弟、一緒に遊びなさい」とやっていたとしたら、

下の子が機嫌良く遊べるためには、お兄ちゃんは常に、

『弟のペースに付き合わなければならない』

という状況になってしまうんです。

それが時々でしたら我慢できても、

「常に」という状況だとお兄ちゃんも我慢できないんです。

「時には僕のペースで遊ばせてよ!」となるんですね。

下の子はまだ、お兄ちゃんのペースでは遊べないでしょう。

お兄ちゃんだって、弟のペースでは物足りないんです。

すると、そこで必ず摩擦が起きるのですね。

親から見ると同じ「遊び」のように見えても、

お兄ちゃんと弟さんとの「遊び」の種類は全く違います。

お兄ちゃんはすでに自分の中でストーリーをつくったり、

イメージをしたりしながら遊んでいるはずです。

もし、そんな時に1歳前後の子がくれば、

めちゃめちゃにされてしまう、という事なんですね。

自分が熱中している事を邪魔されたら、だれだって頭にきますよね。

せっかく作ったものを壊されたりでもしたら、

きっと叩きたくもなるでしょう。

当然「来ないで」「あっち行って」とも言いたくなるんですね。

お兄ちゃんは、最初から暴力的だったわけではない、とありました。

としたら、やはり「叩く」だけの理由があったはずなのですが、

もしかしたら、こういう事なのではないかな?

と私は思うのです。

そして、弟を叩いたり「来るな」と言うと、

お母さんから無条件に怒られる。

(お兄ちゃんからすると「僕は悪くないのに」という気持ちもあって、

「なんで僕ばかり怒られなきゃいけないの?」という不満もあり)

その理不尽さに癇癪を起こすのではないでしょうか?

でも癇癪を起すと、さらにお母さんに怒鳴られ、謝らせられる。

これが続けば・・・やはり不満は鬱積し、

積もり積もった不満をどこかで吐き出すことになるでしょう。

それが「お兄ちゃんの弟嫌い」のエスカレート、

「兄弟げんか」の多さに繋がっているのではないかな?と思います。

ですから、まずは、下の子を叩いた時、

頭ごなしに怒るのではなく、冷静に、穏やかに

「なぜ叩きたくなったの?」と問いかけてあげてください。

そしてそれが正当であろうとなかろうと、

しっかり最後まで聞いてあげてほしいです。

“自分の気持ちをちゃんと聞いてもらえる”

これが「認める」の基本になりますからね。

まずそれをしてもらって、

それでも(一方的に)暴力をふるったり、

理由も無く叩くようでしたら、又、ご連絡くださいますか?

よろしくお願いします。

ここまで・・・

ニュムヤムさんからは、この後すぐ、お礼のメールを頂いたのですが、

約1月後ぐらいに、こんなご報告を頂きました。

ここから・・・

パピーさん、こんにちは。ニュムヤムです。

先日は、お返事ありがとうございました。

数週間、頂いたアドバイスを実践してみて、

事態はかなり改善してきています。

今日はそのご報告を兼ねてお礼のメールをさせて頂きます。

先日、頂いたアドバイスを読んで、ドキッとしました。

というのは、パピーさんのおっしゃる通りの所があったからです。

私は、お兄ちゃんに弟の面倒を押し付けていました。

私は子供のころから漫画を読むのが大好きで、

一時は漫画家になりたい、と思ったくらい好きでした。

若いころは漫画ばかりでしたが、成人してからは小説にもはまり、

時間があるといつも活字を追っている毎日でした。

ですが、結婚して子供ができてから、自分の時間がなかなか取れず、

まんがも小説も、なかなか読むことができませんでした。

でも、弟が生まれてからは、お兄ちゃんが弟の事をとても可愛がり、

あやしたり、一緒に遊んでくれていたので、

これは有り難い、と、子供たちが遊んでいるその横で、

子供達の様子を見ながら(とは言ってもほとんど見ていませんでしたが)

小説や漫画を読みふける。それが私の幸せな時間となりました。

最初のころは「お兄ちゃん、ありがとう」という気持ちが有ったのですが、

それがだんだん薄れてきて「お兄ちゃんが弟と仲良く遊ぶ」事が、

当たり前になってきてしまっていたんですね。

その内に、私の時間確保の為に、

下の子のおもりをお兄ちゃんに押し付け、

『兄が弟の面倒をみる事が当然』となっていたのでした。

(パピーさんに言われて、気付きました)

それなのに「お兄ちゃんに思いやりがない」などと

怒っていた自分を恥ずかしく思います。

そうですよね。

私には私の楽しみ方があるように、

お兄ちゃんはお兄ちゃんの遊び方があって、弟は弟の遊び方がある。

全部、違うもの。一緒にはできないんですよね。

言われて初めて気付いた自分が恥ずかしいですが、

本当にその通りだと思います。

パピーさんからメールを頂いた直後、

お兄ちゃんが弟と喧嘩をして、お兄ちゃんが叩いた時に、

怒らず冷静に「なぜ叩きたくなっちゃったの?」と聞いてみました。

そうしたら・・・、

「だって、○君が僕にいじわるするから」

「僕の嫌な事、ばっかりするんだもん」

でした。パピーさんの言ったとおりでした。

私は、パピーさんからご指摘を頂いて、

自分の漫画を読む時間を確保したいがために、

お兄ちゃんに無理を押し付けていたんだと分かっていたので、

「そうだよね。今まで気がつかないでごめんね」

「本当は、○君のめんどうはお母さんが見なければいけないよね」

「ごめんね」

と言ったら、いつものような癇癪を起こすこともなく、

それ以上、暴れることもありませんでした。

やっぱり『自分の気持ちすら聞いてもらえない』

という事に不満があったんだな~と感じました。

パピーさん、やっぱりすごい!!と驚きました。

それからは、お兄ちゃんが1人で遊んでいる時には、

できるだけ邪魔をしないように気を使ったり、

下の子がお兄ちゃんのおもちゃで遊びたがる時には、

(今までは横から手を出して奪っていた)

お兄ちゃんに「貸して」と聞いて「借り」てから使うように、

弟にも教えながら私も一緒になって遊ぶようにしました。

もちろん兄弟げんかは無くなったわけではありません。

でも、パピーさんの言われたように、

兄弟げんかをしても、叩かれて弟が泣くような事があっても、

頭ごなしに叱るのではなく「どうして叩きたくなったの?」と

冷静に聞くようにしていました。

それを繰り返していましたら、

お兄ちゃんの顔つきがとても柔らかくなって、

乱暴だった雰囲気やイライラしている感じは、

かなりなくなってきたように感じます。

それどころか私が忙しくしていると

自分から「○君を見ていてあげようか?」などと

言ってくれたりするようになったり、弟に

「これはこうやって使うんだよ」と教えてあげたり、

「上手上手~♪」なんてあやしてくれたりしています。

自分の遊びの邪魔をされる事をすごく嫌がっていたのに、

今は、下の子のペースで遊んでくれる時も多いです。

以前と比べると嘘のように仲が良くなりました。

パピーさん「認める」ってすごいですね。

他にもいろいろ報告したいこともあるのですが、

毎日読んでいるテキストの内容がより現実味を帯びてきて、

ちょっとびっくりというか、ワクワクドキドキしています。

まだまだ駆け出しで、

パピーメソッドのほんのさわりだけだと思いますが、

子供たちが、これからどんな風になっていくんだろう?

ととても楽しみです。

(後略)

ここまで・・・

お兄ちゃんの様子が落ち着いて、

兄弟が仲良くなってくれたようで本当に良かったです♪

> 他にもいろいろ報告したいこともあるのですが、

> 毎日読んでいるテキストの内容がより現実味を帯びてきて、

> ちょっとびっくりというか、ワクワクドキドキしています。

とありましたが、是非お時間のある時に、また教えてくださいね♪

そうそう。

ニュムヤムさんは、漫画や活字が大好きなんですね。

子供たちが小さいとなかなか時間が取れなかったようですが、

兄弟が仲良くなる事で、

お兄ちゃんが下の子に合わせてくれるだけでなく、

年齢が上がるに従って遊び方も近くなっていきますので、

少しずつお母さんが間に入る必要がなくなってきます。

兄弟でルールを作りながら一緒に遊ぶようになると、

ご自分の時間もグーンと増えていきますからね(^^)

もうちょっとのしんぼうです。頑張ってくださいね。

ニュムヤムさん、貴重な報告、ありがとうございました。

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